人工知能(AI)とは?定義や仕組み、種類、活用事例を徹底解説

人工知能(AI)は、今や誰もが耳にする言葉となり、さまざまな分野で活躍しています。しかし、AIとはそもそもどのような技術であり、いつから存在していたのでしょうか。近年、生成AIの進化により、AIはさらに注目を集めています。本記事では、AIの基本的な仕組みや種類、AI技術で可能なこと、そしてそのメリットとデメリットについて詳しく解説します。

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人工知能(AI)とは?

人工知能は「Artificial Intelligence」のことで、その英語の頭文字をとって「AI」と呼ばれています。

人工知能(AI)とは、人間のように学習や推論、判断を行うコンピュータシステムのことを言います。

AIという言葉を初めて使ったのは、「人工知能の父」と呼ばれるアメリカ人科学者ジョン・マッカーシー教授です。教授は、AIを「人間の脳に近い機能を持ったコンピュータープログラム」と定義しました。

しかし、「人間の脳」自体もまだ解明されていない点が多く、定義が難しいため、AIの定義も非常にあいまいで、研究者によって解釈はばらばらです。また、AIの活用分野も幅広く、まだまだ多くの可能性を秘めた存在と言えるでしょう。

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人工知能(AI)の歴史

現在話題となっているAIの研究は、1950年代から始まり、今もなお発展を続けています。AIの研究は、大きく3つの世代に分けることができます。そこで、まずはAIの歴史について簡単にまとめました。

第1次AIブーム

最初のAIブームは1950年代後半から1960年代に欧米で起こりました。コンピュータが普及し始め、AIという言葉が使われるようになった時期です。

この時期のAI研究は、主に「推論」と「探索」を中心に進められました。簡単なルールに基づいて論理的な結論を導き出すことができるプログラムが開発され、チェスなどのゲームのように明確なルールがある問題を解決するAIが注目を集めました。

チャットボットと呼ばれる簡単な受け答えができる自動会話プログラムもこの時期にすでに開発されています。

しかし、当時のAIは計算能力やデータ処理の限界があり、複雑な問題を解決するには力不足でした。そのため、期待が大きかったものの、現実的な成果が少なく、第1次ブームは次第に終息していきました。

第2次AIブーム

第2次AIブームは、コンピュータが一般的に使用され始めた1980~1990年代に起こりました。この時期に注目を集めたのが「エキスパートシステム」です。

「エキスパートシステム」とは特定の分野における専門家の知識をコンピュータに組み込み、専門的な問題を解決するシステムです。この技術により、医療や金融など、専門知識が求められる分野でAIが実用化され始めました。

しかし、エキスパートシステムには限界がありました。AIに必要な知識を人間からコンピュータに入力する作業は非常に手間がかかり、言語化しにくい知識をデータ化するのが難しかったのです。

また、システムの柔軟性が低く、例外的な状況への対応も困難でした。その結果、第2次AIブームは次第に勢いを失い、再びAI研究への期待は薄れていきました。

第3次AIブーム

2000年代に入ると、コンピュータの計算能力が飛躍的に向上し、膨大なデータを効率的に処理できるようになりました。この時期から現在にかけてが第3次AIブームとされています。

このブームの大きな契機となったのが、コンピュータが大量のデータからルールやパターンを発見し、自動で学習する「機械学習」の登場です。

2010年代に入ると、機械学習と深層学習(ディープラーニング)の技術がさらに進歩しました。第2次AIブームでの課題であったデータの準備にかかる手間が劇的に軽減され、AIはより高度なタスクを実行できるようになりました。

その結果、さまざまな分野での応用が広がり、AI技術は私たちの生活やビジネスに深く浸透しました。

特に深層学習は、神経ネットワークを用いてデータを分析し、画像認識や音声認識、自然言語処理などの分野で革新的な成果を上げています。

例えば、私たちの身近なところで、自動運転車の開発やAIアシスタント(SiriやAlexa)の精度向上がその代表例です。現在、特に注目を集めているのが生成系AI(ジェネレーティブAI)です。これは、入力したテキストに基づいて画像を生成するAI(Midjourney)や、人間のように会話しながら文章生成や情報収集を行うAI(ChatGPT)が話題となっています。

人工知能(AI)の分類

AIは大きく「特化型AI」と「汎用型AI」の2種類に分類できます。それぞれについて詳しく解説します。

【特化型AI】

「特化型AI」は、特定のタスクや分野に特化して設計された人工知能です。例えば、画像認識や音声認識、翻訳、天気予報、自動運転など、特定の問題を効率的に解決するために開発されています。

特化型AIは、その分野で高い精度を発揮することが特徴ですが、他の分野やタスクには適用できず、特定の目的のみに限定されています。

【汎用型AI】

「汎用型AI」は、人間のように幅広いタスクをこなす能力を持つ人工知能です。特定の分野に限らず、複数の専門知識を活用してさまざまな問題に柔軟に対応できることが特徴です。

凡庸型AIは高い学習能力や推論能力を備えており、異なる状況や情報を理解し、それに基づいて判断を行います。最近では、言語を理解して文章を生成した「ChatGPT」などがその代表例として挙げられます。

現在、完全な汎用型AIは実現されていませんが、研究が進み、実験が行われています。汎用型AIが実現すれば、医療、教育、ビジネスなどの分野で人間と協力して作業を行うことが可能になります。将来的には、日常生活のあらゆる場面での活用が期待されています。

ただし、汎用型AIの実現には倫理的な課題や法整備などの社会的な課題、技術的なハードルもまだ多く残されています。

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人工知能(AI)に関連する技術用語

人工知能(AI)に関連する技術用語は多く、新しい関連用語も日々増加しています。ここでは、AIの基本的な技術用語について解説します。

機械学習(Machine Learning)

「機械学習」とは、コンピュータがデータを分析し、そこからパターンやルールを見つけ出して学習する技術です。文字や数値、画像、音声などさまざまなデータを使って、プログラムが自動的に判断を改善していきます。機械学習には主に3つの方法があります。

●     教師あり学習

正解データが用意された「教師データ」をもとに学習する方法です。例えば、画像認識や需要予測など、正確な答えがわかっている場合に使われます。

●     教師なし学習

正解がないデータを自動的に分類し、グループ分けやパターンの発見を行います。ECサイトでのレコメンドやターゲットマーケティングなどで活用されています。

●     強化学習

試行錯誤を繰り返して最適な行動を学ぶ方法です。囲碁や将棋のAI、ロボットの動作制御などで使われています。

深層学習(Deep Learning)

深層学習(ディープラーニング)は、ニューラルネットワークを使ってデータを多層で処理し、精度の高い分析を行う学習手法です。データからルールやパターンを見つけ出す際に、中間層と呼ばれる層を複数設けることで、より複雑な問題を正確に解決できるようにしています。特に、これまで扱いが難しかった画像や音声、自然言語などの非構造化データも学習できるようになりました。

ニューラルネットワークは、人間の神経細胞の構造(ニューラルネットワーク)を模倣した数理モデルで、入力データと出力結果の間にある中間層を通じて情報を処理します。

この中間層で行われる「重み付け」により、重要なデータの影響を大きくし、精度を高めています。深層学習により、自動運転やAIアシスタントなど、さまざまな分野での革新が進んでいます。

自然言語処理(Natural Language Processing, NLP)

自然言語処理(NLP)とは、コンピュータが人間の言語を理解し、解析する技術です。この技術により、機械翻訳や音声認識、文字認識(AI-OCR)などが実現され、現在では日常生活やビジネスなど、さまざまな場面で活用されています。

特に、言葉の意味を理解する「自然言語理解」は、深層学習の進展により大きな進歩を遂げました。人間とAIの会話がより自然になり、AIアシスタントやチャットボットの精度も向上しています。

最近注目されているChatGPTなどの「大規模言語モデル(LLM)」は、膨大なデータを深層学習で処理して構築された数理モデルです。

この技術により、自然な質疑応答や、人間が書いたかのような文章の生成が可能となり、今後もさまざまな分野での応用が期待されています。

人工知能(AI)で何ができる?

人工知能(AI)の技術は大きく「識別」「予測」「実行」の3つに分類され、さまざまな分野で実用化が進んでいます。

人工知能(AI)の実用化における機能領域

識別

音声認識

画像認識

動画認識

言語解析

予測

数値予測

マッチング

意図予測

ニーズ予測

実行

表現生成

デザイン

行動最適化

作業の自動化

ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究より(総務省)

AIの識別技術は、音声や画像データを解析して認識する技術です。議事録の自動作成やスマートスピーカーの操作、デジタルカメラの自動フォーカス、顔認証、手書き文字の認識など、多くの場面で活用されています。医療分野での画像分析やセキュリティ面などでも、識別技術は活躍しています。

予測技術は、AIが大規模なデータを分析し、その結果をもとに予測を立てる技術です。予測によって、問題を事前に検知し、未然に回避することも可能になります。例えば予測売上や消費者の購買動向を予測し、商品レコメンドや検索広告などに活用されています。また、製造業などでは異常検知により機械の故障を予測することが可能になりました。

実行機能も多く取り入れられており、AIによる文章の執筆、音楽の作曲、画像の生成などのクリエイティブなタスクがすでに実行されています。

車の自動運転などのように、複数のAI機能が組み合わせて実用化されるものも増えており、今後も、AIの機能はさらに進化していくことが見込まれています。

人工知能(AI)のメリット・デメリット

人工知能(AI)を企業が取り入れることには多くのメリットもありますが、注意しなければいけない点もあります。AIのメリット・デメリットについて解説をします。

メリットとは

AIの主なメリットは以下の通りです。

●     業務の効率化によるコスト削減

AIは、膨大なデータを迅速かつ正確に処理し、高度な分析や予測を行います。この技術によって、人間では手間や時間がかかる業務を効率化し、コストの削減が可能になります。

●     労働力不足の解消

AIは休むことなく24時間稼働できるため、労働力の不足が問題となっている業界での活用が進んでいます。単純作業や定型業務を自動化することで、労働負担を軽減し、人件費の削減も可能になります。

●     人的ミスの削減と安全性の向上

AIは正確性が高く、人的ミスを減少させます。自動運転や製造業のAI監視システムにより、安全性が向上し、リアルタイム分析で事故やトラブルの未然防止が可能です。

●     高精度な分析と顧客ニーズの把握

AIは優れたデータ分析力で顧客の行動やニーズを把握し、商品レコメンドや需要予測を精度高く行います。これにより、迅速で正確なビジネス判断が可能となり、サービスの質や顧客満足度が向上します。

デメリットとは

一方で、下記がAIのデメリットとして挙げられます。

●     雇用の縮小

AIによる自動化が進むと、人間が行っていた仕事が減少する恐れがあります。特に単純作業などはAIに置き換わりやすく、その結果、一部の職業が失われる可能性があります。

●     責任の所在がわからない

AIはデータに基づいて判断しますが、そのデータが偏っていたり不完全であったりすると、誤った結論を導き出すことがあります。特に、自動運転車などが事故を起こした場合、誰が責任を負うのかが曖昧になり、社会的な問題を引き起こす可能性があります。

●     情報漏洩のリスク

AIの導入に伴い、プライバシーの懸念も増しています。個人情報が悪用されたり、外部のAIサービスに送信したデータが漏洩するリスクが高まります。また、AIが学習するデータが著作権や個人情報保護法に違反する可能性も指摘されています。

●     初期投資のコストが高い

AIの導入には高額な初期投資が必要で、運用には専門知識も求められます。専門的なスキルを持つ人材の確保が難しい場合、企業にとって大きな負担となることがあります。

●     リスク管理の難しさ

AIの進化により、リスクマネジメントも複雑化しています。特にクリエイティブ領域において、AIによる生成物が著作権問題を引き起こすなど、新たな課題が浮上しています。これらのリスクや課題に対処するための取り組みが求められています。

人工知能(AI)が抱える今後の課題

AIはすでに多くの分野で広く利用されており、私たちの仕事や生活も変化してきています。生成AIは今も進化を続けているので、今後はさらにAIの活用の幅が広がることが予想されます。

企業にとって、労働力の効率化や生産性向上、顧客ニーズに対応するために、AIを活用したデジタル化は必要不可欠と言えるでしょう。

しかし、AIの導入には新たな課題も伴い、これまでにないリスクへの対策や管理体制の強化が求められています。AIの専門家や研究者だけではなく、司法や行政の関係者も巻きこんで、AIをどう活かしていくのか話し合うことが必要です。

まとめ

AIはすでに私たちの生活のさまざまな場面で活用されており、AIの高度な処理能力には多くのメリットがあります。企業にとって、これからの時代はAIを導入することが不可欠となってくるでしょう。しかし、AIにはまだ解決すべき課題も多く残されています。AIはこれからも進化を続けていくため、そのメリットとデメリットを理解し、今後どのように共存していくかを常に考えることが重要です。

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