泣寝入りNG!ネット通販詐欺からお金を取り戻す手順
ネット通販で詐欺にあったかもしれない! そう考えて、このページをご覧になっているあなたは、まずどんな経緯で入金したのかを振り返り、そして詐欺犯の罠にかかっていないかを迅速に確認してください。なにもしないかぎりお金が返ってくることは決してありません。泣き寝入りだけは避けてください。
ネット通販で詐欺にあったかもしれない! そう考えて、このページをご覧になっているあなたは、まずどんな経緯で入金したのかを振り返り、そして詐欺犯の罠にかかっていないかを迅速に確認してください。
「銀行振込で代金を前払いした」「商品が届かない」という2つの条件に該当するようなら詐欺が濃厚なので、すぐに警察や銀行など関係各所に相談してください。振り込め詐欺救済法に基づく手続きにより、詐欺犯の口座が凍結されればお金が戻ってくる可能性が生まれます。ここではとるべき行動と、その流れを解説します。逆に言えば、何もしない限りお金が返ってくることは決してありません。くれぐれも泣き寝入りだけは避けてください。
そして今後は二度とネット通販で詐欺に遭わないためにも、その実態や疑わしいサイトの見抜き方などを覚えておきましょう。ネット通販が当たり前になったこの時代、詐欺犯の魔の手はいつどこにでもあるのですから、その対策を怠ってはなりません。
1.ネット通販詐欺で入金してしまったらすぐ警察と銀行へ!
1-1.ネット通販詐欺に騙されたと思ったらすぐにとるべき行動4ステップ
ネット通販詐欺にはいくつかのパターンがありますが、大半は「銀行振込で代金を前払いしたのに、商品が届かない」というパターンです。該当する場合はすぐに警察と銀行に相談してください。それ以外のネット通販詐欺の特徴は、「3.ネット通販詐欺が疑われる特徴」にまとめました。
1-1-1.まず警察に被害届を出す
詐欺被害に遭った場合、最初にすべきことは警察へ被害届を出すことです。事件として扱われることで、「振り込め詐欺救済法」の対象となり、被害額を戻してもらえる可能性へつながります。
被害届を出す際は、詐欺被害の経緯をまとめておくとスムーズです。あわせて商品購入のメールや画面キャプチャ、振り込みの控え、メールのやりとりなどを揃えましょう。
被害届は警察署に行くか、都道府県別のサイバー犯罪対策窓口を利用するとよいでしょう。警察が被害届の受理に消極的なケースもあるようですが、金額の大小にかかわらず被害を届け出るべきです。
誰かが被害届けを出さなければ、銀行側が犯人の口座を凍結することはできません。同様に被害が少額だからといって泣き寝入りするのは、犯人の思うツボです。騙されたことが間違いないなら、事件として扱いましょう。
こちらは都道府県別のサイバー犯罪対策窓口です。なるべく早いタイミングで相談しましょう。
・都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口一覧
1-1-2.次に銀行に相談する
警察に被害届けを出した次に、お金を振り込みで支払ってしまったのであれば銀行に相談してください。お金を取り返す手段としては、組戻しと、「振り込め詐欺救済法」に基づく手続きのいずれかがあります。前者は、振り込んだお金を相手の了解のもと戻してもらう方法。後者は、犯罪利用された口座を凍結し、そこに残ったお金を被害者へ配分するという方法です。
とはいえ、通販詐欺において組戻しは現実的ではなく、口座凍結が本命となります。そのため、口座からお金が引き出されるよりも前に、素早く行動することが求められるのです。
1-1-3.会員情報を削除する
詐欺行為を働くサイトに登録した個人情報は、悪用される可能性が非常に高いと言えます。迷惑メールの原因ともなり得るので、すぐに退会手続きを行いましょう。ただし退会をしても、すでに相手が個人情報を保持してしまっている可能性も十分に考えられます。
1-1-4.預金保険機構のサイトで情報を確認する
預金保険機構のサイトでは、インターネット上の詐欺に関する、口座の凍結、被害回復分配金の支払い手続きなど、各種公告が掲載されています。自分が被害に遭った詐欺犯の口座番号で簡単に検索できますので、こまめに情報確認をしましょう。
1-2.国民生活センターに相談する
ネット通販詐欺については、国民生活センターにも相談窓口があります。警察は犯罪を取り締まるための機関なので犯人を特定するための協力は期待できますが、被害の救済となると管轄外です。ネット通販詐欺の全般および被害の救済までを含む相談窓口としては国民生活センターが適切です。国民生活センターは局番なしの「188」で電話相談を受けることができますが、それ以外にも日本全国に相談窓口があります。
全国各地の相談窓口については、以下のページに案内があります。
・全国の消費生活センター等
2.振り込め詐欺救済法に基づく返金までの流れ
詐欺被害の被害届を警察に、その連絡を銀行にすると、振り込め詐欺救済法に基づき、詐欺犯の口座凍結処置がなされる可能性があります。そしてその口座の残高に応じて、被害額の一部や全額が返金されます。その返金を受けるためには、申請期間中に申請し、所定の手続きを行う必要があります。返金手続きに関しては、預金保険機構のサイトも参照してください。
ステップ1.口座の凍結
警察や金融庁から連絡を受けた銀行が犯人と思われる口座を凍結します。銀行に直接寄せられた情報などから、銀行が独自に凍結に踏み切るケースもあります。この時点で口座からの出金ができなくなるため、いかに早く凍結まで持ち込むかが勝負です。
ステップ2.権利(債権)消滅の公告
凍結した口座の名義人に対し、権利行使の届け出を求める公告が預金保険機構のサイトに出ます。届け出受付期間は60日以上。
預金保険機構のサイトにはさまざまな公告が掲載されています。
ステップ3.権利消滅
届け出受付期間中に名義人からの届け出がなければ口座が消滅。つまり犯罪者が銀行に連絡をしなければ、口座は消滅するわけですが、犯罪者からの連絡が銀行に入る可能性は低いと言えます。
ステップ4.被害者へ連絡
銀行から被害者へ連絡が入り、詐欺被害に対する資金分配の手続きが案内されます。自分に連絡が来ない可能性を減らすためにも、事前に警察や銀行への相談はするにこしたことはありません。
ステップ5.資金分配の公告
預金保険機構のサイトに、被害回復分配金支払い申請の公告が出ます。30日間以上の受付期間中に申請をします。
ステップ6.資金分配の公告
被害者からの申請に応じて被害額を認定し、口座残額を配分。
こちらは実際に被害回復分配金の支払い手続きが完了した公告。
ステップ7.残余金を処理し、手続き終了の公告
口座に残ったお金がある場合は預金保険機構へ。手続きが終わった旨の公告が出て終了。
3.ネット通販詐欺が疑われる特徴
ネット通販詐欺には、いくつかの特徴があります。しかし、これらの特徴はあくまでも一例であり、近年では手口の巧妙化によってこれらの特徴に該当しないケースも増えています。
3-1.消費者庁が注意喚起しているネット通販詐欺の特徴を見てみよう
消費者庁がホームページ上で公開している、ネット通販詐欺の特徴です。こちらから、ネット通販詐欺に関する全体的なイメージをつかめるのではないかと思います。
出典 (消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/internet/trouble/internet.html
これらの他にも、購入しようとしている有名通販サイトとURLが一致しているか、注文後のメールに不自然な点はないか、表示されている電話番号にちゃんとつながるか(電話番号がない場合はその時点で怪しい)といった点にも注視してください。
3-2.極端に価格が安く、他店では売り切れなのに在庫があった
これは上記のネット通販詐欺の特徴を示したようなネット通販詐欺メールの一例です。
近年はここまで雑な作りのメールは以前ほど多くありませんが、それでも一つの参考にはなると思います。
こちらの商品、上のメールでは5,867円となっていますが、同時期に他のインターネットショップでは9,000円前後の価格設定で、なおかつどの店でもすでに売り切れでした。価格破壊レベルの安値なのに、このショップにだけ在庫がある時点でかなり疑わしいと言えるでしょう。
3-3.預金保険機構に公告が出ている
預金保険機構の口座番号検索で上記の詐欺犯の口座番号を検索してみたところ、債権消滅の手続き開始、債権消滅、被害回復分配金の支払い手続き開始の公告がありました。警察への被害届けが受理され、銀行が口座の凍結に動いたことがわかります。
4.詐欺の疑いがある通販サイトの特徴
ネット通販詐欺の疑いがあるようなサイトに見られる特徴をいくつか列挙します。これらに該当する「通販サイト」はかなり怪しいと見るべきでしょう。
4-1.銀行振込による前払いのみ
振り込ませて逃げるというスタイルをとる業者は、銀行振込による前払いしか受け付けません。それでしか逃げ切れないからです。前払いという意味ではカード決済も同じですが、カード決済は後から返金処理ができるため犯人にとっては都合が悪いのです。
とはいえ、カード決済が可能であるとダミーで提示して、実際にはできないという業者もあります。
銀行振込のみでは怪しまれるので、まずはそれを回避しようという目的で行っている狡猾な手口です。
4-2.入金先が個人口座
法人口座を持っていないネット通販業者は、怪しいと言わざるを得ません。また、外国人名義の個人口座への入金を誘導するネット通販詐欺も多く発生しています。ただし、口座自体を売り買いする非合法のネットワークも存在するため、法人口座=安全とは言い切れません。
4-3.Webサイト内に会社情報がなく連絡ができない
会社情報や電話番号などが明記されていない業者も怪しいと言えます。メールアドレスだけ記載されているケースもありますが、そこに連絡をしてもまっとうなやりとりは期待できません。
また、先ほどの消費者庁の指摘にもあるように住所が記載されているのに最後まで記載されていない場合も、ネット詐欺の可能性濃厚です。
4-4.Webサイト内に特商法の表記がない
特定商取引法とは、消費者トラブルが生じやすい取引を対象にした法律です。これによって事業者の違法行為を防止し、消費者の利益が守られます。インターネットを使った通信販売は「特定商取引に関する表示」を掲載する義務がありますので、これが守られていないのであれば、ネット詐欺以外の観点からもそのサイトを疑うべきです。
4-5.大手ショッピングモールに属していない、単独のWebサイトで、独自ドメイン
インターネット通販は、大手ショッピングサイトに所属するケースが大半で、それらは一定基準の信頼性を確保しています。しかし、商品名やブランド名を検索してサイトを探すと、独自ドメインのサイトにたどり着く場合もあり、そういったサイトの一部は詐欺サイトである可能性もあります。
もちろん独自ドメインの優良サイトも数多くあるため、ドメインだけで完全に判断することは危険ですが、ひとつの参考にはなります。また有名通販サイトや運営会社を詐欺会社が装うパターンもあり、油断できません。
4-6.不自然に商品が安い
店舗で購入するより安価なことが多いネットショッピングとはいえ、不自然なまでに安い場合は注意が必要です。商品にもよりますが、そのサイトだけ他と比較して半額であったり7割引き、8割引きといった極端な価格である場合など、通常では無いような価格差がある場合はネット通販詐欺の可能性が高いと言えます。
4-7.他のサイトでは売り切れている商品を扱っている
人気商品や希少商品、限定商品などは売り切れになることがあるわけですが、それを扱っていると詐称するサイトもあります。
4-8.やりとりするメールやサイト内の文章が不自然
通販詐欺は外国人の犯罪者集団により行われている場合が多々あり、それゆえサイトやメールの文面が不自然な日本語になっているケースがあります。翻訳サイトで簡易的に翻訳しただけのような文章だった場合は、外国人による通販詐欺の恐れがあります。ただしこれについても、近年では日本人の協力者がいる場合や翻訳スキルの向上によって見分けがつきにくくなっている部分があります。
4-9.Webサイトやメールで見慣れないフォントが使われている
日本語フォントの無い環境でサイトを制作すると、日本ではほぼ使用されることがないフォントに置き換えられ、結果的に平仮名やカタカナが読みづらいものになるといった現象が起こります。今は日本でほとんど使われていないような旧字体が用いられているケースも要注意です。
4-10.不自然なやりとりで時間を稼ぐ
消費者からの連絡やクレームに対して、一見丁寧に対応しているかのように見えて、のらりくらりと時間稼ぎしてかわそうとする手口もあります。コミュニケーションが取れているということで安心してしまいがちですが、口座凍結されるまでの時間稼ぎとして、そのような行動をするケースもあるのです。
5.ネット通販詐欺に遭わないための5カ条
ここまでネット通販詐欺の手口や特徴について解説してきましたが、相手は詐欺師です。人を騙すことに長けた犯罪者であることに変わりはないので、そもそも詐欺から身を守るためにはどうすれば良いのかという心構えを5カ条にまとめました。
5-1.「うまい話」にご用心
ネット通販詐欺に限らず、詐欺に引っ掛かる人間心理の根底には欲があります。品薄になっているもののどうしても欲しい商品や高嶺の花だと思っていたような高額商品が安く簡単に手に入るという話を持ち掛けられると、疑わしいとは思いつつもついつい話に乗ってしまうのが人情です。しかし、詐欺師はこうした人間心理を巧みに突いてきます。「うまい話」には、くれぐれも用心してください。これはネット通販に限らず、生活のあらゆる面に言えることです。
5-2.保護されたサイトかどうかをチェック
ネット通販では顧客の名前や住所、クレジットカード番号など重要な個人情報をやり取りすることになります。そのため、暗号化によって通信内容を保護する仕組みになっています。暗号化によってセキュリティ性が確保されているサイトは、URLが「https」から始まります。近年ではこの部分を省略している場合もありますが、その際は鍵マークが表示されるなど保護されていることを確認できるようになっています。詳しくは「httpとhttpsの違いとは? 知っておきたいウェブセキュリティの常識と今後」の記事で解説していますので、そちらもご参考にしてください。
暗号化されているからといって100%安全というわけではありませんが、そもそもこうした仕組みを採り入れていない時点で詐欺サイトである可能性が高いので、ひとつの判断材料にはなります。
5-3.日本語の表現に不自然さはないかをチェック
各方面で指摘されているように、ネット通販詐欺は外国の犯罪集団が関与していることが多く、日本語の表現に不自然さが目立つ事例が多く見られます。翻訳ソフトを使った不自然な日本語であったり、日本では使っていないような漢字が使われていたりと、こうした不自然さがある場合は詐欺を疑ってみるべきでしょう。しかし、犯罪者もこうした事情を考慮して日本人の協力者がいたり、日本語に精通した者が自然な表現を作り込んでいる場合もあります。
5-4.なりすましECサイトに注意
騙しやすくするために、amazonや楽天といった大手ECサイトと見間違うようなサイトを作成する手口があります。フィッシング詐欺でもよく見られる手口ですが、買い物をする際には本当に買い物をしようとしているサイトなのか、URLを細かい部分までチェックすることを習慣づけるのも重要です。
5-5.少しでも不審な点があったら調べてみる
買い物をする際に少しでも不審な点を感じたら、調べてみることも習慣づけたいものです。知らない名前のサイトや販売業者であれば、その名前をGoogle検索してみるだけでも何か出てくるかもしれません。また、消費者庁のホームページには「悪質な海外ウェブサイト一覧」といってブラックリストのような情報が公開されているので、ここに該当のサイトが入っていないかを見ることも有効です。
6.まとめ
ネット通販での詐欺被害に遭った場合は、相手の口座凍結というシナリオが最も返金の可能性が高いものとなります。これを実現するためには、どれだけ素早く警察や銀行へ連絡するかが鍵を握ります。被害額が少ないから、勉強代だと思ってなどの理由から、ネット通販詐欺に対して泣き寝入りしてしまっている人がほとんどです。しかし、これ以上の被害を増やさないという意味でも、誰かではなくご自分で警察と銀行への連絡は行ってください。
なお口座の凍結から返金開始まで、数ヵ月程度の時間はかかります。詐欺から時間が経過していても、まだ返金処理は間に合うかもしれません。警察や銀行に相談していない場合、返金手続きの連絡はおそらく来ませんから、預金保険機構のサイトで自分が被害に遭った事案を検索してみることをオススメします。
最後にそのサイトが安全かどうかを判断するひとつの目安として、ノートンセーフウェブの使い方を紹介します。
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