【ワンクリック詐欺】事例を交えて対処法と予防策を解説
身に覚えがないサービスの料金請求がいきなり来たとき「もしかしたらワンクリック詐欺かも……?」と不安に感じる方もいるのではないでしょうか。
近年ワンクリック詐欺の手口は多様化しており、アダルト系や出会い系サイトだけでなく、芸能情報サイトやアニメサイトなどあらゆるジャンルのサイトに仕掛けられています。スマホを持ったばかりで、まだネットリテラシー(知識)がそこまで無い未成年の被害も増えています。
この記事はワンクリック詐欺の特徴や手口について事例を交えて詳しく解説します。また実際詐欺に遭ったときの対処法や予防策も紹介します。ワンクリック詐欺の概要だけでなく、対策を知りたい方におすすめです。
ワンクリック詐欺とは?特徴を解説
ワンクリック詐欺とは、メールやSMS、Webサイトに記載されたURLをクリックすることで被害を受ける詐欺のことをいいます。出会い系やアダルト系を装った内容が多く、いかにも契約手続きが完了したように見せかけてユーザーの不安を煽るのが特徴です。
主な被害は下記の2種類です。
- 金銭的被害
- 個人情報に関する被害
不当な料金の請求に応じて支払いをしてしまうと金銭的被害が発生します。被害額は1件あたり数万円~数十万円程度かかるケースもあります。
金銭的被害のみならず、個人情報流出の恐れもあるのが特徴です。複数の詐欺業者で情報が流用されてしまい、被害が拡大するリスクもあります。
ワンクリック詐欺を無視したらどうなる?
ワンクリック詐欺にあったとき「請求を無視したらどうなるんだろう」と感じたことはありませんか。しかし不当な料金請求に対して支払う義務はないケースが多いので、基本的に無視してしまって大丈夫です。
以下の2つの法的根拠から、ワンクリック詐欺には応じる必要がない場合が多いです。
- 電子消費者契約法
- 特定商取引法
電子消費者契約法では、ネット上での操作ミスによる契約などを無効にできるとされています。ワンクリック詐欺におけるわかりにくい操作画面も契約無効の判断対象になります。
特定商取引法は消費者を保護するための法律です。料金が発生する契約であるとサイト上に明示するよう定められていますが、ワンクリック詐欺はサイト上で明示せず、違反していることが多いです。
請求画面が表示された場合、くれぐれもお金を支払ったり電話などで連絡したりしないでください。一度被害に遭ってしまうと詐欺業者のターゲットにされてしまう恐れもあります。とにかく無視することが一番です。
【最新】ワンクリック詐欺の手口
ワンクリック詐欺は、Webサイトの画像や動画、電子メール、SNSに記載されたリンクへのクリック(タップ)を誘導してユーザーを騙します。
不当な請求があった場合はワンクリック詐欺であることがほとんどです。以下の事例に少しでも当てはまる場合、詐欺の可能性が高いため適切な対処を行ないましょう。
ユーザーに「無料」と誤解させ関心を引き付ける
有料サービスであるにもかかわらず、無料サービスに見えるようにページが作り込まれているケースがあります。
アダルト系や出会い系などのユーザーの興味を引くような内容を使って、メールや掲示板などで誘導する場合が多いです。「はい」や「サンプル視聴」といったボタンを押しただけで、いきなり「登録完了」と表示される仕組みとなっています。
正当な契約が完了しているかのように見せかける
いかにも正当な契約が完了したように見せかけ、サービス利用料金などの理由で支払いを請求するのも特徴です。
詐欺サイトのほとんどにおいて、ユーザーが契約してしまったと思わせるような文章の記載や、ユーザーが気づきにくいところに利用規約を記載するなどの細かい工夫がされています。
ユーザーに不安感や恐怖感を抱かせ支払いを促す
ユーザーが不安になるように、請求画面に位置情報やIPアドレス情報、訴訟の可能性を促す内容が表示されることがあります。
ユーザーの心理的な弱みにつけ込み、支払いを促す悪徳な手法です。ユーザーは不安や後ろめたさからほかの人になかなか相談できず、本来必要のない支払いに応じてしまうこともあります。
シャッター音を鳴らして撮影しているかのように不安を煽る
請求画面が開くのと同時にスマホのシャター音を鳴らして、あたかも「写真を撮られてしまった」と思わせる手法があります。
これはスマホの機能を悪用し技術的に音を鳴らしているだけで、実際に写真は撮られていません。そのため「自分の顔写真が相手に知られてしまった」と不安にならなくて大丈夫です。
勝手に電話を発信する
シャッター音と同様、スマホの機能が悪用されて勝手に電話が発信されてしまうことがあります。
勝手に電話が発信されていることに気づいたら、すぐに電話を切ってください。相手が電話に出ていても同様です。もし折り返しの電話がしつこい場合は着信拒否をしましょう。
複数クリック詐欺やゼロクリック詐欺にも注意
「ツークリック詐欺」「ダブルクリック詐欺」と呼ばれるような複数クリック詐欺も存在します。文字通り2回以上クリックした後に不当な請求がされる詐欺のことです。
複数クリック詐欺は、わかりにくい利用規約や一定のコンテンツを表示させた上で請求するため、「よく確認しなかった自分が悪い」と感じるユーザーの心理を利用した悪徳な手口です。法に触れないよう利用規約ページが巧妙に作られるケースもあります。
一方ユーザーが一度もクリックしていないのに起こる「ゼロクリック詐欺」も存在します。特にリンクをクリックをしなくても、Webページを訪れただけで自動で請求画面に飛んでしまいます。ワンクリック詐欺と同様、支払いや連絡をしないように気をつけましょう。
悪質な「ワンクリックソフトウェア」も存在
請求画面が何度も繰り返し表示される「ワンクリックソフトウェア」も存在します。Webサイトで表示されることもあれば、アプリの場合もあります。ダウンロードしてしまった場合は、アンインストールやセキュリティソフトでの駆除対応をするのがおすすめです。
【被害例】これってワンクリック詐欺?詐欺の可能性が高い3つの事例
実際にWebサイトやメールでいきなり料金を請求されたとき、ワンクリック詐欺なのか悩む方や、対応方法に迷う方も多いのではないでしょうか。
ここでは、ワンクリック詐欺の3つの事例を紹介します。似たようなケースに遭遇した場合は、詐欺の可能性が非常に高いため焦って支払いをしないように気をつけましょう。
メールやSNS上に記載されたURLクリックによる登録&料金請求
メールやWebサイト、SNS上に記載されたURLをクリックしたことで勝手に会員登録され、不正な料金請求が行われる手口は非常に多いです。
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動画のダウンロードや再生ボタンクリックによる登録&料金請求
アダルトサイトや無料音楽サイトのコンテンツを再生、ダウンロードしようとして被害に遭うケースもあります。非公式、違法サイトのコンテンツは安易にダウンロードしないでください。
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スマホアプリのダウンロードによる登録&料金請求
スマホアプリをダウンロードしたら、そのアプリがワンクリック詐欺のために作られたものだったという事例もあります。特にアダルト系のアプリが多いです。不正な請求をされた場合は無視し、アプリをアンインストールしましょう。
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注意点:子供がスマホを触っていたら
さまざまな世代でのスマホ利用が増えている今、子供を狙ったワンクリック詐欺も増えてきています。子供にスマホを持たせる場合は、フィルタリングサービスや利用制限などを使って、違法サイトへのアクセスリスクを抑えてください。
親のスマホを一時的に子供に貸している場合も要注意です。スマホの使い方や注意点などは日頃から話し合ってルールを決めると良いでしょう。
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ワンクリック詐欺に遭ったら?対処法を解説
実際にワンクリック詐欺に遭ったとき、とても不安で焦ってしまいますよね。しかしそこで「何か対応しないと」と急ぎ、料金を支払ったり電話したりすることはおすすめできません。
ではどういった対応が適切なのでしょうか。以下に4つの対処法を紹介します。
- 原則は「無視」。ページを閉じ、キャッシュを削除する
- 電話をしてしまったら…着信拒否設定や番号変更をする
- 支払いをしてしまったら…公的機関や専門家に相談する
- 支払いをしてしまったら…カード会社や銀行に連絡する
ワンクリック詐欺への対応に悩んでいる方は、すぐに下記の対応を行ってください。
原則は「無視」。ページを閉じ、キャッシュを削除する
ワンクリック詐欺対処法の基本は「無視」です。記載された電話番号やメールアドレスに連絡をすると、詐欺業者に個人情報を伝えてしまうことになります。
スマホやパソコンで不当な請求が表示された場合は、該当ページをすぐに閉じてキャッシュを削除しましょう。参考としてスマホのSafariとパソコンのChromeのキャッシュ削除方法を説明します。
スマホSafariの場合
- 設定アプリを開く
- 「Safari」をタップ
- 「履歴とWebサイトデータを消去」をタップ
参考:Apple「iPhone、iPad、iPod touch で Safari から閲覧履歴、キャッシュ、Cookie を消去する」
パソコンChromeの場合
- Chromeを開く
- 画面右上の「︙」をクリック
- 「その他のツール」を選択
- [閲覧履歴を消去] をクリック
- 削除対象期間を選択
- 「Cookie と他のサイトデータ」 と「[キャッシュされた画像とファイル]」のチェックボックスをオンにする
- 「データを消去」 をクリック
電話をしてしまったら…着信拒否設定や番号変更をする
焦って電話をしてしまうと詐欺業者側に電話番号が知られ、業者間で番号を売られてしまう恐れもあります。万が一電話をかけてしまった場合は、「着信拒否設定」や「電話番号変更」をおこないましょう。
以下では、iPhoneでの着信拒否設定の方法を紹介します。
iPhoneの場合
- 電話アプリを開く
- 着信拒否したい連絡先の横にある「i」ボタンをタップ
- 下にスクロールして「この発信者を着信拒否」をタップ
参考:Apple「iPhone、iPad、iPod touch で Safari から閲覧履歴、キャッシュ、Cookie を消去する」
Androidの場合
- 電話アプリを開く
- その他アイコン(︙) → 「通話履歴」 をタップ
- ブロックしたい電話番号からの通話をタップ
- 「ブロックして迷惑電話として報告]」をタップ
- 「ブロック」をタップします。
参考:Android 「迷惑な電話やメッセージに困ったら、着信拒否を設定する方法も」
電話だけでなくメールの返信をしてしまった場合も、メールの受け取り拒否設定やメールアドレスの変更をするのがおすすめです。
支払いをしてしまったら…公的機関や専門家に相談する
ワンクリック詐欺による不正な請求に対して支払いする必要はありません。もし焦って支払いをしてしまった場合は、迅速に公的機関や専門家に相談しましょう。
主な相談先は以下の3つです。
- 警察のサイバー犯罪相談窓口に相談する
- 国民生活センターに相談する
- 法テラスを利用する
警察のサイバー犯罪相談窓口に相談する
サイバー犯罪相談窓口は、さまざまなサイバー犯罪に関する相談を受け付けています。地域によって問い合わせ先が違うので、下記から自身の地域の相談窓口を確認しましょう。
国民生活センターに相談する
国民生活センターではさまざまな消費者トラブルの相談を受け付けています。土日祝日にも相談を受け付けている窓口があります。
法テラスを利用する
法テラス(日本司法支援センター)では相談に対して問題解決のための法制度や、手続きを無料で案内してくれます。メールでのお問い合わせも可能です。
詐欺による金銭的被害の回復のため「振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)」という法律があります。支払ってしまった料金が返ってくるケースもあるので、諦めずにすぐ専門家に相談しましょう。
支払いをしてしまったら…カード会社や銀行に連絡する
クレジットカードや銀行引き落としでの支払いをしてしまった場合、二次被害のリスクがあります。不正出金や不正利用を防ぐため、支払いをしたカード会社や銀行へすぐに連絡してください。
まずはカード会社に連絡して支払い停止の手続きを行ないます。このときクレジットカードの情報、詐欺業者やサイトの名前がわかるように準備してください。元のカードが不正利用されないよう、カード再発行の手続きも行ないましょう。
銀行では振込完了後に料金を返却を依頼できる「組戻し」という仕組みがあります。救済を受けるため、速やかに被害の申請をしてください。
ワンクリック詐欺の契約は無効
「ワンクリック詐欺は支払いをせずに無視して本当に平気なの?」と不安に思う方もいるでしょう。ワンクリック詐欺における契約は法律によって無効と判断される場合が多いので安心してください。
インターネットを通じた取引トラブルから消費者を守るため「電子消費者契約法」と「特定商取引法」の2つの法律が存在します。URLをクリックしただけで勝手に契約成立を主張するワンクリック詐欺の契約は、これらの法律から無効であると判断されます。
そのためユーザー側に料金の支払い義務は基本的にありません。中には取り立てや訴訟を行なうといった脅しをしてくる業者もいますが、それに応じる必要もないことが多いです。
未然に防ごう!ワンクリック詐欺を防ぐ5つの方法
ここまでワンクリック詐欺の事例や対処法を紹介しました。そもそもワンクリック詐欺に遭遇しないように事前に対策することも重要です。以下の5つの方法で、ワンクリック詐欺の被害を未然に防ぎましょう。
怪しいサイトにはアクセスしない
まず、怪しいサイトにアクセスしないことが大切です。ワンクリック詐欺のサイトは「アダルトサイト」や「出会い系サイト」を騙っていることが非常に多いです。そのほかにはダイエット系、美容系のサイト、芸能情報サイトなどのケースもあります。
以下のような特徴があるサイトは怪しい可能性が高いので、むやみにアクセス、クリックしないようにしましょう。
- URL文字列が不自然になっている
- 不自然な日本語文章がある
- 極端な値引きセールが行なわれている
- 住所が最後まで記載されていない
- 普段見かけない古いフォントが使われている
メールやSNSなどに記載されたURLや画像、Web広告は安易にタップしない
メールやSNSに記載されたURLやボタンは安易にタップしないようにしてください。ページに表示される画像やWeb広告も同様です。
それらをクリックしただけで料金請求画面に飛んでしまう恐れがあります。「無料」を強調しているものや、見覚えのないサービスの広告はむやみに触らないように注意しましょう。アダルトサイトの「入場」や「ENTER」ボタンもタップしないでください。
提供元がわからないアプリはダウンロードしない
アプリを使ったワンクリック詐欺も存在します。アプリを起動すると請求画面が表示されます。
対策として、提供元がわからないアプリはダウンロードしないことが大切です。アプリダウンロードにはAppleやGoogleが運営している公式アプリストアを利用しましょう。アプリの用途とは関係のない情報へのアクセス許可を求めてくるものも要注意です。
利用規約を確認する
サイトの記載内容にはよく目を通すようにしてください。特に利用規約が書かれたサイトは要注意です。詐欺サイトは利用規約を長文にしたり、Webブラウザからは数行しか表示されないようにしたりなど、ユーザーが利用規約を読みにくいように小細工をしてきます。
利用規約画面で購入する旨を確認していた場合、ワンクリック詐欺に該当しないケースもあります。利用規約に目を通さない状態で安易に「同意」を押さないように気をつけてください。
最新のセキュリティソフトを導入する
ワンクリック詐欺の対策として、セキュリティソフトを使って怪しいサイトへのアクセスを防ぐことも非常に有効です。
無料でセキュリティスキャンができるソフトや、無料体験版が提供されているものがあるので、まずはそちらで試してみるのもよいでしょう。下記におすすめのセキュリティソフトを紹介します。
セキュリティソフト |
特徴 |
ノートン 360 |
包括的なウイルス対策を提供するソフト 30日間の無料体験版や全額保証制度がある |
avast(アバスト) |
4億人以上のユーザーがいる人気のソフト |
avira(アビラ) |
軽量で高速。デバイスへの負担が少ないソフト |
セキュリティソフトを使うと、ワンクリック詐欺だけでなくフィッシング詐欺やウイルス感染などのさまざまな被害の防止が可能になります。包括的に詐欺被害対策をしたい方、自分ひとりで詐欺サイトを見分けるのが不安な方は、ぜひ導入してみてください。
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▼参考資料
政府広報オンライン「『振り込め詐欺救済法』に基づき、振り込んでしまったお金が返ってくる可能性があります。」
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