子供をネットいじめの被害者、加害者にさせない実践的解決法

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ネットいじめについて、自分の子供は大丈夫かと親なら不安に思って当然ですよね。この記事では正しい知識や実態、そして被害が発覚した際の実践的な対処法をまとめました。


社会問題となって久しいネットいじめについて、自分の子供は大丈夫かと不安をお持ちですか? ネットいじめは被害者になるだけでなく、軽はずみな気持ちでやったことから簡単に加害者になってしまうことも大きな問題です。

ネット空間で行われることなので実情が分かりづらく、被害を把握するのが難しいネットいじめについて、正しい知識や実態、手口、そして被害が発覚した際の対処法をまとめました。さらに、簡単に加害者にもなり得るネットいじめについて、自分の子供が加害者にならないためのポイントも解説するなど実践的な内容になっています。

1.ネットいじめの実態

1-1.ネットいじめとは

ネットいじめとは、パソコンやスマートフォンなどネットに接続できる端末を使ったいじめのことです。ネットを利用しているというだけで、そこで行われる誹謗中傷や嫌がらせなどの本質は従来からあるいじめと同じです。

以下のような行為がネットいじめに分類されます。

  • いじめ対象の人に関する悪口や根拠のない噂を掲示板に書き込む
  • 悪意に満ちた画像などを投稿して拡散させる
  • いじめ対象の人になりすまして悪意のある行動を取る
  • 個人情報を晒す

現実世界のいじめと違って暴力を振るったり、物を取ったりという行為はありませんが、いじめられる人を特に精神的に追い込むところが特徴のひとつです。

1-2.ネットいじめの問題点

現実世界のいじめは、自分がいじめられていることをすぐに察知できます。それに対してネットいじめは対象となる人が知らないところで掲示板の書き込みがなされたり、知らないところで人間関係を壊されたりするため、人間不信に陥ったり精神的に大きなダメージを受けてしまう点が問題です。

また、ネットの便利さゆえにいじめを目的とした悪意のある情報も瞬時に拡散してしまう点も問題で、発覚するまでに深刻化してしまう事例も少なくありません。

1-2-1.陰湿化しやすい

そもそもいじめという行為自体が陰湿なものですが、ネットいじめは匿名性が高いことも手伝ってさらに陰湿化しやすい特徴があります。本人の知らないところで誹謗中傷が書き込まれ、それに同調する人たちによって話が盛り上がり、拡散するという流れは現実世界のいじめでは起きにくい現象です。

1-2-2.軽い気持ちでエスカレートしやすい

掲示板に書き込む、嘘の情報をネット上に流すという行為は手間もそれほどかからず手軽なので、ネットいじめに加担する人の多くは軽い気持ちで行っています。モバイル環境が整備されているため移動中スマートフォンなどでもいじめ行為が可能で、手軽さがいじめをエスカレートさせやすい土壌を作ります。

1-2-3.いじめる側から逃れるのが困難

現実世界のいじめであれば、いじめに遭うその物理的な環境から逃れることも一つの手段です。学校なら転校、職場なら転職するなどその環境から逃れる方法があります。ネットいじめにはそもそもそうした「物理的な環境」がないため、ネット上で執拗に追われる可能性があります。また、書き込まれた誹謗中傷は転校や転職をしたからといって消えるものではなく、ネット上に残り続けて人を傷つけます。

1-2-4.知らない間に加害者になる恐れがある

ネット上の掲示板などに何か書き込みをするという行為は、今の子供たちは日常的に行っていることでもあります。そうした書き込みのうち、特定の人を誹謗中傷するのがネットいじめです。行為そのものは普段の書き込みや投稿と何も変わらないので、加害者意識を持ちにくいのも特徴です。

ツイッターのリツイート機能のように、誰かの投稿をクリックするだけで拡散させることができるため、これも加害者意識を薄れさせています。

1-2-5.発覚しにくい

ネットいじめは、ネット上のごく一部で行われます。学校裏サイトの事例ではいじめを行っている特定の人たちだけが使う掲示板で誹謗中傷が行われたりするため、そのサイトがどこにあるのかを学校が発見するのは困難です。そのため発覚しにくく、発覚した時にはかなり深刻な段階になっていることも珍しくありません。

1-3.ネットいじめの主な手口

1-3-1.学校裏サイト

無料で利用できる掲示板サイトにスレッドと呼ばれる特定のテーマの掲示板を開設、そこをいじめに利用する手口です。その学校の生徒同士が情報交換をする掲示板という「表」の存在もありますが、学校裏サイトと呼ばれる掲示板は特定の人をターゲットとした誹謗中傷であふれます。

1-3-2.LINE外し、なりすまし

今や個人間の通信インフラとして定着しているメッセージアプリのLINEは、若い世代のコミュニケーションツールとしても広く利用されています。友達同士でLINEグループを作って連絡に使うのは良いのですが、その中にいじめのターゲットとなっている人がいると、「LINE外し」というネットいじめに発展します。

主な手口は、強制的にそのターゲットをグループから退出させるものと、その人以外で申し合わせて別のLINEグループを作ってターゲットとなっている人を仲間外れにするというものです。この場合、特定の人を仲間外れにして作ったグループではターゲットとなっている人の悪口があふれることになります。

1-3-3.なりすましメール、チェーンメール

なりすましメールとは

メールを使ったネットいじめも多くの被害が発生しています。なりすましメールは、専用ソフトなどを使ってターゲットになっている人になりすまして他の人に心にもない内容を送信したり、もしくはターゲットになっている人が勘違いするようなメールを他者の名前を騙って送信したりするなどの手口があります。

ある一人の人物が、同じクラス全員のメールアドレスを詐称して一斉になりすましメールを送信、「クラス全員から悪口を言われている」という構図を作ろうとした事例もあります。

チェーンメールとは

チェーンメールは、かつてあった「不幸の手紙」と似た性質の嫌がらせです。チェーンメールを受信した人には「このメールを10人に転送しないと○○」という脅迫めいた内容の文面が届くので、それを受信した人は不安になって転送してしまいます。○○の部分には「いじめられる」「殺される」「秘密をばらす」などの脅迫的な文言が入ります。

受信した人が10人に転送するということを繰り返していると、チェーンメールはアッと言う間に大人数に拡散します。そのチェーンメールに特定の人を誹謗中傷する内容や個人情報などが入っていると、悪質ないじめに発展します。

1-3-4.掲示板での誹謗中傷

学校裏サイトも掲示板を舞台にした誹謗中傷の一種ですが、ネット上には簡単に利用できる掲示板サービスが無数にあります。そこにいじめの対象となっている人の悪口をお互いに書き込み合うと、悪質なネットいじめになります。その本人が掲示板を見た時の精神的ショックは計り知れないものがある一方で、発覚しにくいという悪質な行為です。

2.子供がネットいじめに遭っている兆候を察知する方法と対処法

子供がネットいじめに遭っているのではないかという兆候は、さまざまなところに表れます。現実世界でのいじめにも共通する部分がありますが、以下のような兆候が見られたらネットいじめに何らかの関わりがあることを疑ってみてください。

【ネットいじめが疑われる兆候】

  • 携帯電話のパケット通信量が異様に増大している
  • 携帯電話の着信音を無音にするようになった
  • 電話に出たがらない、ネット利用を極端に避けるようになる
  • 集中力がなくなり、常に何か考え事をしているように見える
  • SNSを肌身離さずチェックしている
  • 親に利用しているネットサービスの画面を極端に隠す
  • 深夜にスマートフォンなどでネット利用をするようになった

他にもさまざまな兆候がありますが、ネットいじめの場合は舞台がネットであることもあってネット利用のあり方が急に変わったという点にポイントがあります。

2-1.いじめが発生しているサイト、メールアドレス、IDなどを保存

子供がネットいじめに遭っていると疑われる場合は、該当するサイトやメールの発信元、ネット上の投稿をしているユーザー名などを記録してください。これらの情報はいじめの加害者を特定、または証拠を残すために必要です。

2-2.掲示板の管理者に削除依頼

学校裏サイトなど誹謗中傷であふれている掲示板の存在を確認したら、その掲示板の管理者に削除依頼を出します。どんな掲示板サイトにも管理者がいるので、サイト内にある「削除依頼」「お問い合わせフォーム」などを探して、そこからネットいじめの事実を通告して、削除するように依頼します。

こうした窓口が分からない、削除依頼に応じてもらえない場合は警察など専門の窓口に相談しましょう。

2-3.学校、警察などに相談

いじめが起きているのが学校のクラス内であれば、学校と警察に相談するのが最も確実です。学校に相談するだけだと及び腰になってしまう可能性もありますが、その場合は警察にも相談しているという事実が効きます。

警察は事件が起きてからでないと動きづらい部分はありますが、ネットいじめの行為はそれぞれ、以下の法律に抵触する刑事事件です。すでに被害が確認されている場合はこうした法律に違反していることを踏まえた上で相談をすると警察も動きやすくなります。

【ネットいじめと関連法】

  • 誹謗中傷や脅迫めいたメールを送る → 刑法第222条の名誉毀損、脅迫
  • ネット上に実名を含む誹謗中傷を書き込む → 刑法第230条、第231条の名誉毀損、侮辱
  • 裸の写真を撮ってネット上に投稿する → 児童ポルノ禁止法
  • ネットいじめ行為全般 → いじめ防止対策推進法

2-4.ネットいじめの相談ができる窓口一覧

ネットいじめに遭っている、またはそれが疑われる場合に相談できる窓口は、以下の通りです。

⇒ 警察庁インターネット安全・安心相談

⇒ 法務省インターネット人権相談受付窓口

⇒ いじめから子供を守ろうネットワーク

2-5.SNSで親子が友だちになっておくと得られる効果

ネットいじめの主な舞台が掲示板やメールより、最近ではSNSに移りつつあります。そこで子供が利用しているアカウントと、親が友だちになっておくという対策があります。

FacebookやTwitter、LINEなどを子供が利用している場合、友だちになっておくと子供のSNS利用についてある程度把握することができる上、その周辺の子供たちにも「親が関与している」という印象を与えるため、いじめに対する一定の抑止力になります。

3.自分の子供をネットいじめの加害者にしない5つのポイント

3-1.子供のネット利用ルールを作る

ネットいじめの加害者にしないためには、ネットそのものを使わせないようにすればいいというのは理想論ですが、今時の子供たちはネットで連絡を取り合っており、ネットを利用させないことによって子供がいじめに遭ってしまう可能性すらあります。

そこでネットを正しく利用する方法、ネットを利用する上で一定のルールを設けることが有効です。

【親子で作っておくべきネット利用のルールの例】

  • 最初は保護者と一緒に利用する
  • 利用時間に条件をつけた上でスマートフォンを買い与える
  • 携帯キャリアとの契約で利用制限を設けておく
  • 学校や勉強、食事中などスマートフォンを使わない時間を設ける
  • 夜○時になったら充電器に置いて、使用しないという時間制限を設ける

3-2.ペアレンタルコントロールとフィルタリング

セキュリティソフトや携帯キャリアのサービスに、ペアレンタルコントロールとフィルタリングがあります。

ペアレンタルコントロールとは

ペアレンタルコントロールとは「親によるコントロール」という意味で、キッズモードがあるスマートフォンやセキュリティソフト、または携帯キャリアが提供しているサービスなどから利用可能です。

有害なアプリのインストールをブロックしたり、設定した時間以外は接続できないようにするなど、子供のネット利用に物理的なルールを設けることができます。

フィルタリングとは

フィルタリングはサイト閲覧時に有害なサイト、有害なキーワードが含まれているサイトへのアクセスをブロックする機能です。ペアレンタルコントロールと同様に、スマートフォン本体の機能やセキュリティソフト、携帯キャリアのサービスを利用して行います。

フィルタリングサービス

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docomo|フィルタリングサービス

au|あんしんフィルターfor au

SoftBank|ウェブ安心サービス(フィルタリングサービス)

3-3.人としてのリテラシー教育を行う

いじめという行為を引き起こす心の貧しさ、醜さを幼いうちから教えるリテラシー教育は、非常に重要です。これはネットいじめに限らず、あらゆるいじめにも共通するもので子供の情操を養う上でも有効な教育です。

学校でも行われている教育ですが、未就学の段階からそういった行為が許されないものであること、自分がその立場になったらどう思うかという教育を日常的に行うのが効果的です。

こうしたリテラシー教育を実践するには、普段から親子のコミュニケーションが健全に機能している必要があります。些細なことでも親に相談できる関係性、家庭の環境づくりをすることも子供をいじめから遠ざけます。

3-4.深夜の利用を制限する

ネットいじめに該当するような書き込みや投稿、発信の大半は深夜に行われます。自分自身が当事者となって発信していなくても、他者が発信したいじめ情報に同調してしまうのも多くが深夜の時間帯です。

ペアレンタルコントロールや親子のルールづくりをする際に、深夜のネット利用を一定時刻までに制限することをおすすめします。

3-5.回線契約のないスマートフォンを与えてWi-Fiで利用する

3-4.のようにネットいじめが活発になる深夜の利用を物理的に制限し、また子供のネット利用を把握しやすくするという意味で、回線契約のないスマートフォンを与えて家庭内のWi-Fiで使用させるのも効果的です。

無線ルーターの設定で利用時間帯を決めることができるほか、「親が管理しているネット回線」という印象を子供に与えるため、一定の抑止力になります。

4.まとめ

実際の暴力を伴わないため発覚がしづらく、より陰湿化しやすいネットいじめについて基本的な知識と兆候の見つけ方、対処法、そして加害者側になってしまわないためのポイントを解説しました。

ネットいじめは加速度的に深刻化するため、もし思い当たることが少しであるのであれば速やかに対応されることを強くおすすめします。ネット社会の発展に伴ってネットいじめの問題もより複雑化、高度化することが予想されますが、問題の本質はこの記事で解説していることと変わりません。正しい知識を持って、お子さんをネットいじめから守ってあげてください。

※記事内容の利用実施は、ご自身の責任のもとご判断いただくようお願い致します。

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